天使の落とした涙の中に #11
家に帰ったのは、九時を少し回ったころだった。
「ただいま、シリウス。遅くなってごめんよ」
シリウスの姿が見えなかった。
「シリウス?どこにいるんだい?」
僕は部屋をすみずみまで探した。小さいシリウスだからどこに潜り込んだのか検討もつかなかった。けれど探しても探してもシリウスの姿は見つからない。
「シリウス?」
僕は急に不安になった。いなくなったのか?まさか…僕は家中を探した。それでもシリウスはいなかった。
「どこに、行ったんだよ…」
僕は呆然とした。部屋に戻って、電気もつけずに座り込んだ。なにかあったんだろうか…僕が帰ってこないのを心配して、家の外に出たんだろうか?けれどシリウスが行った外の世界は、この前の散歩の時の一度きりだ。…散歩?
「まさか…」
僕は慌てて家を飛び出した。家の前の坂を走って下り、この間行った公園へと急いだ。公園はもう人気もなく、街灯がポツンと照らしていた。公園に入ると僕はシリウスの姿を探した。
「シリウス?いるの?」
滑り台にもいなかった。いったいどこへ行ってしまったんだ?公園を一周して僕はもう一度滑り台に戻った。そして僕はふと滑り台に上ってみた。いくつかの階段があって滑るところもいくつかある大きな滑り台だった。僕はゆっくりとシリウスを探した。上にはいない。僕は下に降りパイプ状の滑り台を覗いた。耳を澄ますとかすかに泣き声が聞こえる。滑り台は曲がった造りをしていたから奥までは見えない。
「シリウス、いるの?」
僕は呼びかけた。すると、泣き声が止まった。
「和也?」
やっぱりシリウスだった。僕は胸をなでおろした。
「出ておいで、帰ったらいないから心配したよ」
すぐにシリウスが滑り出てきた。そして僕に飛びついて大きな声で泣き出した。
「どうしてこんなところにいたんだい?」
「ぼく、ぼく、すべりだい、したかったんだ。和也がつれてきてくれたから、もういっかいしたかったんだ。そしたらここにいたの。いっぱいいろんな人がいたの。でもね、だんだんみんないなくなるんだ。そしたらね、おそらがくらくなってきて…ぼく、ひとりぼっちに、なっちゃったんだ」
僕の両手の中でシリウスはしゃくりあげた。シリウスは昼ごろからここにいたんだろうか?
「寒かったろう?シリウス、家に帰ろう」
僕は指でシリウスの頭をなでた。シリウスはぴったりと僕の手にくっついていた。そうだった。シリウスはずっと一人で僕を待っていたんだ。
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コメント
あっ!アップされてるじゃん(^^♪
シリウス…だんだんこの世界を知っていく。
空、夜、寂しさ、ぬくもり…。
この先どうなっていくんだろう…。
投稿: にゅ~ | 2009年1月19日 (月) 19時51分