こんな夜には静かな旅を~vol.23
沈黙の時間が流れた
私は彼の言葉を待つことができなかった
「貴方がテオではないのですか?」
彼は私に視線を戻した
その瞳は、悲しげだった
「いいえ、僕はロルフです。最初に言ったように、テオ爺さんは僕の祖父の弟です」
「でも、そんなこと…」
「そう、ですよね。僕は云わば第三者でしかない。
でも、貴女はそうじゃない。受け止めてくださいと言っても難しいですよね」
彼は、ふぅっと息を吐き出した
そして、再びバックを膝に置き中から数冊の分厚いノートを取り出した
「これを、読んでいただけますか?」
「これは…?」
「テオ爺さんの日記です」
私はじっと彼を見つめた
「ここに、全てが書いてあるはずです。僕は読んでいません。それとこれを…」
彼は2枚の写真と小箱を差し出した。
写真には精悍な体つきの、片足のない青年が写っている
彼に似てはいるが、別人だということがわかる
そして、その青年はショールを巻いていた
私の編んだショールに似ている
もう一枚は、その青年のアップ写真だった
首に、ドックタグをつけている
今の写真に比べて画質はよくないが、リボンが結ばれているのがわかる
この人が、テオ…
写真を食い入るように見ていた私は、この写真の青年がテオであることを確信しなければならないものに気がついてしまった
ドックタグのチェーンに、小鳥のチャームがついている
もらったときは気がつかなかった
私のもらったテオからの初めてのプレゼントは
この青年がつけているチャームと対になっている…
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