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2010年4月

2010年4月26日 (月)

こんな夜には静かな旅を~vol.25

「彼は僕に、思い出を全て話して聞かせてくれました。
 不思議な出会いのこと。
 不思議な手紙のやり取りのこと。
 出兵の日のこと。
 戦時中、辛い時に思い出しては生き抜こうとがんばったこと。
 そして…」

彼はまた言葉をとめた
私は顔を上げ、彼を見た
彼もまた私を見ていた

「貴女と、初めて出会ったこと」

私は言葉も出なかった
私は、テオと会っている?

「貴女は覚えているでしょうか?彼の話では、まだ貴女は幼い少女だったそうです。
 ある春の日に、彼はあの湖に行ったそうです。
 足が不自由だったために、そうそう外出することはなかったらしいのですが、
 その日、彼は一人で湖に行ったそうです。
 松葉杖をついて、なんとか湖に着いた。
 戦争に行く前と変わらない景色がそこにはまだあった。
 彼は懐かしさと、あの夢のような暖かい交流を思って湖のほとりに座っていた。
 突然、ふわりと風が吹き、彼はふとあの樹を振り返ろうとした。
 そして気がついた。自分のすぐ後ろに、少女が一人立っていることに。
 少女は不思議そうに自分を見ている。
 じっと自分を観察していた少女は、声をかけてきた」

「おじさん、どうして足が片方ないの?」

私は、つぶやくように言った

「え?」

ロルフが私を見ている

「おじさん、どうして足が片方ないの?
 そうよ、私はそう言ったわ」

記憶の片隅に忘れられていた

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